【動画解説】
『源氏物語』第21帖「少女」の巻で、光源氏は元服した夕霧をあえて貴族としての位階を与えず、大学寮に相当する教育を与えました。「大学寮」とはどういうものでしょうか? 今回の動画では、平安時代の「大学」制度を、当時の中国の科挙制度や諸問題とともに語っています。
【語句解説】
・夕霧(ゆうぎり)
…光源氏の長男。母は頭中将の妹である葵上で、夕霧を産んだ直後に亡くなっている。夕霧の名は彼が中心人物になる第39帖の巻名に因んで後世の人がつけたもの。
・元服(げんぷく・げんぶく)
…奈良時代以降の日本で男子の成人を示すものとして行われた儀式。通過儀礼の一つ。
・位階(いかい)
…国家の律令制度に基づく個人の地位・身分の序列、等級のこと。位(くらい)ともいう。
・大学寮(だいがくりょう)
…律令制のもとで作られた式部省(現在の人事院に相当する)直轄下の官僚育成機関。官僚の候補生である学生に対する教育や儒教における重要儀式を行った。
・科挙(かきょ)
…中国で隋から清の時代まで、約1300年間にわたって行われた官僚登用試験。唐代の科挙には進士科(詩を作る能力を問う)と明経科(儒教の経典を暗記する能力を問う)があった。同様の制度は中国だけでなく、朝鮮、ベトナムにも普及した。
・遣隋使(けんずいし)
…推古朝の時代に倭国が技術や制度を学ぶため隋に派遣した朝貢使のこと。600年〜618年の18年間に3回から5回派遣されている。
・四書五経(ししょごきょう)
…儒教の経書の中で特に重要とされる四書と五経の総称。儒教の基礎的な書物である『大学(だいがく)』『論語(ろんご)』『孟子(もうし)』『中庸(ちゅうよう)』の四書と、同じく儒教の文献である『易経(えききょう)』『書経(しょきょう)』『詩経(しきょう)』『礼記(らいき)』『春秋(しゅんじゅう)』の五経を指す。
・宦官(かんがん)
…去勢された王宮に仕える官吏。古代中国にて死刑に次ぐ宮刑(生殖器を切除し宮廷で強制労働に従事させる)が存在し、女官の多くいる王宮に仕えた。のちに重用されることが多くなり絶大な権力を持つようになる。朝鮮半島やベトナムなど漢字文化圏の国々にも広まった。
・菅原道真(すがわらのみちざね)
...845〜903年。平安時代の学者の家系に生まれ育ち、学問や芸術の才能を発揮したことで、右大臣にまで出世した人物。しかし藤原氏の謀略で大宰府天満宮に左遷される。死後は怨霊となり、清涼殿落雷事件などで日本三大怨霊の一人として知られる。また現地では天満天神として信仰の対象となり、現在は学問の神様としても親しまれている。
・従二位(じゅにい)
…日本の位階における位の一つ。正二位の下に位し、正三位の上位にあたる。左右大臣に相当し、令外官では、内大臣や蔵人別当に相当する。女性では、大臣の正室などもこの位に叙せられた。
・文章博士(もんじょうはくし)
…大学寮紀伝道の教官(令外官)。文章生(もんじょうしょう)に対して漢文学及び中国正史などの歴史学を教授した。当初は令外(りょうげ)の官職として、明経道の助博士に準じて正七位下相当であったが、菅原道真の尽力により従五位下(貴族)に位階をあげられた。
・文章生(もんじょうしょう)
…大学寮にて紀伝道(中国史)を専攻した学生(がくしょう)。文人(もんじん)・進士(しんし)ともいう。
・藤原為時(ふじわらのためとき)
…949〜1029年。平安時代中期の貴族・歌人・漢詩人。菅原文時に師事し文章生に挙げられる。蔵人所雑色・播磨権少掾を経て、花山天皇即位時に、式部丞・六位蔵人に任じられる。なお、一条天皇時、藤原道長が執政になると従五位下・越前守に叙任され越前国へ下向。後一条天皇時、正五位下・左少弁に叙任される。
・大宮(おおみや)
…一院の女三の宮(第三皇女)で、桐壺帝の同腹の姉妹。光源氏のおばにあたる。左大臣の正妻として降嫁し、頭中将と葵の上を産んだ。三条殿に住んだことから、三条の大宮とも呼ばれる。
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